サークル 日伊文化交流会

サークル「日伊文化交流会」は板橋区で生まれ、元東都生協登録サークルとしてイタリア好きの人たちが集まり楽しく活動しています

第31回「世界の書棚から」: 「Picturebooks from the USA」に参加しました(2025.4.29)@板橋区立中央図書館

第31回「世界の書棚から」: 「Picturebooks from the USA」に参加しました(2025.4.29)@板橋区立中央図書館

 


今回のアメリカの児童文学の現状については危機感を抱きながら聞きました

 

アンデルセン賞の審査員・審査員長も務められた 国際児童図書評議会(IBBY)の一部であるUSBBY(The United States Board on Books for Young People) 会長による 今のアメリカの児童文学・絵本についてのリポートです

 

アメリカで出された絵本は割とすぐに日本でも翻訳出版され時差はそうない しかしここ5~6年 保守的な人々による絵本の世界での大きな変化があり さらについ先週のこと...と アメリカの現政権により今まで積み上げてきた「多様性(diversity)」を受け入れる試みが分断されてゆくまさに変化の瞬間である と危機感を滲ませており 日本への影響も考えながら聞きました

 

 

Kirkus Reviews (カーカス・レビュー)の21Cのベストブックスでは 多様性を描いた作品が受賞することが多かった 

 

教育的な本を学校の図書館が買いあげることで出版も続けられるが 以前はLGBTQの本に文句をいう親もいたが 最近になって国がそのタイプの本にNoを言うようになった パパが2人いるペンギンの家族の話 黒人の子ども 金髪白人ではない童話のお姫様(シンデレラや白雪姫など)の本が締め出されつつあること

 

 

審査基準(criteria)については クリティカルリーディング 文章を深く読む   理解・分析(analyse) 内容を理解・分析する  そして クリティカルリテラシー 読書体験を世界の見方に反映させることだそうです

 

インクルージョン: 多様性 親切 思いやり 感情的知性について伝える本

 

A place inside me 」等のように 意図的にダイレクトにメッセージがわかるような本が増えている 

 

Where the wild things are (かいじゅうたちのいるところ)」は 意図的に教えるところはなかった

 

Officer Buckle and Gloria」は 言葉はなくても絵でさりげなくメッセージが伝わってくる

 

 

 

続く質疑応答では 日本の教科書に「スイミー」が載っているように アメリカの教科書にも絵本が載っているが 形が変わってしまっており 絵本ならではの伝わり方がしずらくなっていることがあるとわかりました めくりながら読むのではなく 短いページ数に詰め込むことにより 絵は小さくなり絵本ならではの楽しみ方がしずらくなりました

 

また 学校の図書館の役割について 子供が小さい頃は家庭で絵本を読み やがて図書館に行くようになり 学校に入ると学校の図書館に通いますが そこでの職員はプロで 教員資格を持ち様々なアドバイスもできますが 最近は予算の削減により ただ本の貸し借りをするだけのスタッフに替わられる現状等

 

LGBTQや多様性をテーマにした本を 学校の図書館が買わなくなってしまったら 出版もできなくなります 特に日本よりもアメリカでは 書店売りよりも学校売りが多いそうです 

また 何年も読まれない本は どんなに良い本でも廃棄処分となること 

 

日本はミッフィ等の人気の絵本のキャラクターのグッズがよく売れますが アメリカではそんなことはないそうです 日本はキャラクターグッズ販売では世界トップのランキングのようですね😲


質問者の方から紹介された本 「絵本戦争 禁書されるアメリカの未来 」の本は こちら 

 

2025年1月に発売となった本です: アメリカではいま、保守派による禁書運動が暴走している
黒人、LGBTQ、アジア系、アメリカ先住民…マイノリティを描いた絵本がなぜ禁書されてしまうのか
NY在住ライターが禁書となった数々の絵本を通して見る、アメリカの姿 

 

これからも目が離せませんアメリカの出版事情...

 

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